補佐人研修レポート提出

補佐人研修のレポート2つを先日提出し終えて、脱力感に浸っている玉婆です(-.-)zzz
10月から後期が始まるということで、今夏休み中なんですが、レポートの課題が2つありました。

◎品川先生(租税法)・・・課題の裁決例について、その裁決が正しいと思うか、過去の判例等を交えてA4用紙10枚程度にて論評しなさい。
◎首藤先生(税務行政)・・・実務上「コレは?!」と思った事をA4用紙1枚程度にまとめなさい。


首藤先生の方は、以前に受けた税務調査で横領が発覚した時の事をサクサクっと書けたんですが、品川先生の方は大変でした(ガ〜涙)


その裁決とは、平成19.11.1 裁決事例集No.74 1頁の
「相続により取得した財産に係る相続開始前における所有権の取得時効の完成、所有権の取得という事実が判決により後発的に確定した場合、当該判決は、国税通則法第23条第2項第1号にいう判決に当たり、当該事情を財産の価額に与える影響要因として考慮した場合には、その財産の価額は零円とみるのが相当とした事例」


相続開始時において、相続人らは自用地(使用貸借)として評価し、相続税の申告書を提出したんですが、実のところ相続開始前に時効が成立していて、その後裁判で占有者が勝ったため、占有者のものとなってしまった。
なので、更正の請求をしたんですが、その際には「相続開始時においては相続人のものであった事には変わりないから、更正の請求をする理由はない」という通知処分がなされました。
しかし、その原処分に対し納得いかねぇーってなワケで、異議申立てをしたところ、更正の請求を認める裁決となったということでございます。


阪高裁H14.7.25判決で似た様な事件があったんですが、この事件については、時効完成が相続開始”後”であったため、相続人らに時効中断する余地があったとして棄却されております。


とまぁー語るとエライ長くなっちゃうんですが、最初は何を言ってるのかサッパリ分からず、自分の意見など思い浮かびもせず・・・といった状態で、しかも論文なぞ書いた事もないのにA4用紙(原稿用紙ではない)10枚も書けるんかい、みたいな。。


夏休みもあっという間に過ぎ(しかも京都とか行ってたし)締切が数日前にせまって来てから急に焦り出したんですが、あぁーこりゃムリだ、としばらく途方に暮れてました。


その後、いくつか思いついた意見があったんですが、今の法的にはムリだよな〜みたいな。
しかし、いきなり完璧なものを考えて書こうとするんじゃなくて、そのムリなものも「こーゆー検証をした結果これはムリでした」って書けばいいんだよ、という事を教えてくれた人がいて、なるほど〜という事で、とりあえずダー書きつづった所、何とか形になってきました。


でもって「この様な規定は現行法では定められていない」とか、思い付きで書いた部分について、本当に合ってるかどうか、税法・民法など洗い直したり、さらに似た様な判例はないか、とか色々調べた結果が、以下の通りとなりました。


(1)本件のようなケースについては、国税通則法第23条第2項第1号にいう「判決」にあたるかどうかの問題とは別に、相続開始前に時効が完成しており、かつ、相続開始後に時効の援用を受けた事により所有権を失った場合には、通常の更正の請求の期限後においても更正の請求ができる旨の特則的な明文規定を設けることの検討がされたい。
 また、仮に相続開始後に時効が完成したようなケースにおいても、相続人らが被相続人と使用者との間に生じている事実関係や時効の進行状況について充分に把握できる状況でなかったことが明らかである場合等、時効中断ができなかったことにつきやむを得ない事情があると認めるときは、更正の請求を認めることの検討がされたい。


(2)本件ケースのような土地の評価については、時効が完成しており、将来援用をされる可能性がある場合、相続税の申告時において評価額を零円として差し支えないかどうかの検討がされてもよいと考える。
その結果、評価額を零円として差し支えない場合には、その旨財産評価基本通達等にて明文化されたい。
(↑ただし、援用がされなかった場合、課税の機会が失われるという問題が生じますので、そこはまた考えないといけないですね・・・)


(3)個人が時効の完成により財産を取得した場合、現行法においては所得税法における一時所得に該当するものとされているが、課税時期の違いや税法上の計算技術上の相違から、請求人らに課される相続税と占有者に課される所得税とでは税額が著しく異なり、課税の不公平が生じる可能性がある。
したがって、占有者に対する課税関係について、取得した財産について、時効が確定した時点で所得税を課するのではなく、相続開始時において遺贈により財産を取得したものとみなして相続税を課するか、または時効完成時に贈与により財産を取得したものとみなして贈与税を課するべきかどうかの検討がされてもよいのではないか。
その際、相続開始時における相続税と時効援用時における所得税との二重課税の問題が生じることについても再検討すべきである。
(↑民法遡及効は、税法には及ばないという判断が、大阪高裁や今回の裁決でもされているので、上記のような課税関係はムリかとは思いますが・・・)


その他ちょこちょこ書いたんですけど、まぁーまだよく分かってない部分があり、解釈等が間違えていたり、とんでもない事を言ってるような気もしますので、さらなる研究を続けたいと思っております(^^;